初のギターインストゥルメンタル・アルバム
(ファンクラブ会報「FELLOW」第50号 昭和57年10月26日発行より)
「FIRST TAKE」という僕のギターのアルバムが11月25日に発売になります。
もともとギターが好きだったし、ステージでも良く弾いてましたけど、一度そういうLPを作ってみたいなぁと言う気持ちは、随分と前から ありまして、自分の念願が叶って発売にこぎつきました。とにかくデビューして12年目なんですけど、デビューアルバムみたいなんで、 なんとなくゾクッとするんです。
皆さんもご存知のラリー・カールトンさんやテビット・スピノザさんの曲が入ってますけど、特にラリー・カールトンさんは人に曲を書くのは初めてだそうで、彼自身も随分時間がかかったみたいですけど。パッと聴いていただいてこれは彼が作った曲だなって、わりとわかるんじゃないかな? スピノザさんって方は、皆さんもご存知のようにすごく優しい人ですからね。本当にその優しさがサウンドに現れているなって思います。
今回このLPで気を使った点というのは、ハイテクニックを沢山聴いていただこうとかいうのではなくて、BGMでさり気なく聴いていただけて、そして音楽を、ギターの音を、サウンドを楽しもう、そういう形でもちゃんと聴いていただけるという、変に小難しくない部分で作るというのが、僕にとって非常に難しかったですね。でもそれは全うしたつもりでいるのですが・・・。
このLPで僕が担当しているのはギターともろもろのパーカッションです。自分で弾いてて特に難しかったというのはないのですが、あえて言えばラリー・カールトンさんの曲が一番難しかったですね。出来るだけ歌に近いように、ギターを使って相手に感情が伝わるように、それを第一においてましたからそれが一番大変だったかな。
僕のこのLPを聴いて、ギターを弾いてくれる若い人達もきっと射程距離にあると思うんですよ。 というのは、これからギターを一生懸命頑張ってやって行こうとか、ギターに興味を持ち始めてる人っていうのは、今回のLPを射程距離においてどういう風に弾いているんだろうと分析してもらいながらレコードコピーしていただいたりすると、すごく楽しいんじゃないかと思います。
このLPで歌は全く入っていませんので、またいつもと違った野口五郎を発見できると思います。さり気ないところで愛蔵版にして いただけたら幸せですね。
野口五郎