06.20 ニューヨークレコーディング

ニューヨークレコーディング

1977年(昭和52年)6月20日~7月12日

ファンクラブ会報「五郎」より抜粋

羽田空港を6月20日午前10時出発、そしてニューアンカレッジで1時間の休憩を取り、ニューヨークに到着。 すぐにニューヨークポリドールへ行き、打ち合わせが始まる。

翌日からレコーディングが始まる。スタジオに入ってみてびっくり。教会そのものがスタジオになっている。そのスタジオに有名なミュージシャンが次々と入ってくる。五郎は、今年の2月頃から熱を上げているトロペイを紹介してもらい、固い握手などして顔面真っ赤にして興奮していた。

二日目、ウィル・リーが大変に目立っていた。五郎が作曲した「傷心スピードウェイ」を全員が座って 演奏しているのに、ひとり立ちあがり、踊りながら、そしてブレイクの場所ではひとり足を蹴り上げる 格好をして奏きだしている。彼の金髪も、リズムに合わせて踊っている。格好いい! 皆の視線も自然と彼に集まっている。しかし彼がこの曲を演奏するのは、今日が初めてのはずだ。いったい、いつ楽譜を見ているのか。腰掛に高さを合わせている譜面まで1.5メートルはある。よく目を凝らして見ていると、 四小節おきぐらいに、彼の視線はチラリチラリと譜面を見ている。それでよくまぁ、初めての曲が演奏できる ものだ。 

テナー・サックスのマイク・ブレッカーは、自分のアドリブソロの時「何のスタイルで吹くのか?」 と質問してくるので、こちらが「ファンキーで」と要求すれば、その通りに演奏して聞かせてくれる。

最後にアルトサックスのデビット・サンボーンのアドリブソロの時などは、聞いている我々は素晴らしくて鳥肌が立つほどであった。

このレコーディングで感じたことは、一流のプレーヤーは人間としても一流だという事である。みんな良い人 ばかりで、みんな協力的で申し分なかった。リズム取りの最後の日、五郎は前日買ってきたギターを、トロペイと スピノザに見てくれといったら、一人一人、一生懸命に調べてくれた。そしてこのギターをお前から、買った時の値段以上で俺が買ってもいいいと誉めている。我輩なら「いいギターだね」と言ってそれで終わりになる だろうと思うと、感心してその様子を見ていた。

何はともあれ、レコードを聞いて欲しい。その素晴らしさは聞けばわかる!!