ファンクラブ会報「五郎」第12号 昭和50年5月15日発行より
4月12日午後3時超満員、1,500人を超えるファンの前に、白いオープニング衣装をまとった五郎君が現れた。激しいロック、美しいライト、熱っぽい歌・アクション。誰もがステージに魅せられていた。
そんなとき、五郎君にいったい何が起こっていたのだろう。
朝はいつもと変わらず、元気に浜松入りしたはずだった。開演前腹痛を感じた。あんなに食べなきゃよかった。というのは、回りの人が驚くほど昼食のお弁当食べたのである。激痛が走る。舞台の袖に近寄る「おなかが痛い」顔色もなくそう言った。
その口から再び力強い歌声。苦しい中、無意識のうちに、歌うことだけが残る。「トラベリングボーイ」
第一部が終わった。何もわからない。ただ七転八倒の苦しさだけ。救急車ですぐ近くの外科病院に入院。
「急性かんとんヘルニア」と診断され緊急手術。
「よく我慢できたものだ、もう少し遅れていたら・・・」というぐらい、怖い病気であった。麻酔の中、「悔しい、次のステージ」とうわごとは、ステージとファンのことばかり。五郎君の舞台にかける、執念と責任感には誰もが改めて感心させられた。
そんな五郎君も順調な経過で4月15日夕方、東京の病院に移り、お母ちゃんの手厚い看護と、みなさんからのたくさんの励ましの手紙、もうすっかり元気になりました。
いつも忙しい五郎君。入院して静かに寝て暮らしていると思うと大まちがい。例のように寺岡君や金田さんとゲームやクイズ。少し良くなると胸の上にギターを置いて爪弾く。いつもの薄めのコーヒーがのみたい。お母ちゃんのおにぎりが食べたい。ひげが伸びたなぁ。記念写真。いやこのままステージに。冗談にも、もう頭の中は歌うことばかり。こんな具合いなのです。 ちょっぴり寂しがり屋の五郎君の回りには、いつもの温かい視線がいっぱいでした。