1975年5月2日~5月7日 ロンドンレコーディング
ファンクラブ会報 Fellow 昭和50年6月15日発行より抜粋記事
ロンドンレコーディングについて..... 中西マネージャー
五郎のいないロンドンレコーディングは、やはり寂しかった。
五郎の病気は大変気になっていたが、心配するよりも先に五郎の分までロンドンのレコーディングを成功させるのが我々の義務のような気がして、不安な気持ちを日本に残し一行八名はロンドンへ旅だった。
5月1日夜、指揮者、プロデューサーのレイモンド氏にあってレコーディングの詳細を打ち合わせした。レイモンド氏は昨年のレコーディングのときもお世話になっている人で大変心強い感じがした。その場の打ち合わせでスケジュールが決定。
翌日からいよいよレコーディングが始まったわけであるが、大変うれしかったのはどのプレーヤーもイギリスでかなり名前の知れた人ばかりであったことである。例えば「そよ風の誘惑」でヒットしているオリビア・ニュートンジョンのピアノを 弾いている人だとか、007ジェームズボンドの映画音楽をやっているジョンバリー楽団のメンバーだとか、またはプレーヤーだけでなくミキサーのビル・プライズはかつてトムジョーンズの「ラヴミー・トゥナイト」「最後の恋」「思い出のグリー ングラス」などのレコーディングをした人でもある。
7日間のレコーディングで、言葉の違いはあったが、音楽に携わる人間の心はひとつに結ばれ、何度も何度も出す、我々の注文にも快く応じてくれ、予定通りにロンドンレコーディングは完了した。
帰国した日に、五郎をはじめスタッフがポリドールの視聴室に集まり、全曲を聞いたが、どの顔も最高の出来栄えに微笑を絶やす事がなかった。五郎は今このテープを持ち歩いて毎日レッスンをしている。5月27日から3日間のレコーディングのためである。ロンドンには行けなかったけれども、ロンドン録音と同じ結果を!という希望で、ミキサーのビルプライズ氏を日本に呼ぶことが決定。27日から五郎とビルプライズ氏のレコーディングが始まる。体こそロンドンには行けなかったが、五郎にできる最大限のロンドンレコーディングである。
サンプラザリサイタルの愛の肖像を皆さんは覚えていると思う。今度のLPもA面の1曲目からB面の最後の曲まで、1つのストーリーでできあがっている。作詞山上路夫、作曲筒美京平・佐藤寛。そのテーマである「孤独の愛」を五郎がどう表現していくかお楽しみに。